2014年11月6日木曜日

My Recommendations No.30 「小澤征爾 覇者の法則」

口腔顎顔面補綴学分野教授の市川哲雄先生が,ご推薦図書「小澤征爾 覇者の法則」(中野雄 / 文藝春秋)の書評を書いてくださりました。市川先生,ありがとうございました。


それではご紹介します。

小澤征爾は、ボストン交響楽団の音楽監督を29年にわたって務めただけでなく、ベルリン・フィルとウィーン・フィルの定期演奏会の常連として活躍し、最後はウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督まで務め上げた、ご存じのとおり日本が世界に誇る指揮者である。
本書は、単にその歩みが書かれているのではなく、彼の成功の秘密はどこにあるかの切り口で綴られている。さらにそれを音楽性ではなく、人間くさいところから考察している。『世界の一流の人から、「お前のためなら」という無私の好意を引き出してしまう特異な才能を、小澤征爾という人は体内に持ってこの世に生まれてきたのではないか』、『私は彼の才能とその背後にある「何か」について、更に語っていきたい。その中に、こと音楽家に限らず、人生における「勝者の法則」とも言えるものが見出せるのではないか』と語っている。
実は、ほとんどの成功者は、そこに至る過程で、多くの人の支援を受けており、それがなくては絶対に一流にはなれない(代表的な例外は、数学者のエヴァリスト・ガロアかな)。研究も実はそうであって、指導者、先輩に可愛がられ、彼らに教えてくれる意欲を持たせ、研究や発表の機会を与えられなければどうにもならない。それは研究能力だけでなく、「何か」があるわけで、この「何か」と「勝者の法則」を解き明かそうとしているのが本書であり、興味深い。



 
今日から展示していますので,ぜひご覧ください。